WSET講師の評価 - リチャード・レッグ氏

WSET講師として日本産スピリッツを学ぶため2020年1月に日本に招待されました。これまで私はあまり本格焼酎への知識や経験はありませんでしたが、この旅を通して、他の参加者と同じように大きな影響を与えました。今回の訪問で、現在の本格焼酎業界が素晴らしい伝統と革新が絡み合っているのを見ました。蒸留所はスタイルも規模もさまざまでしたが、みな情熱的な造り手の人々によって営まれている姿に、私は自分が見聞きした経験をもっと多くの人に知らせたいと思いました。

 

泡盛と焼酎は多種多彩な蒸留酒です。本格焼酎は多くの原料の選択肢があり、たくさんの異なるスタイルや味わいを持っています。麹をベースに造られているため、ヨーロッパやアメリカのスピリッツとは異なりますが、その香りは私たちにとっても馴染みがあり、容易に楽しめる味わいです。バーやレストランにて食中酒として楽しむ大きな可能性を秘めていると思います。非常に多様性があり、表現が一つに限られないという点では、本格焼酎の原材料の理解を深めるなど、輸出市場でもっとやるべきことがあると思います。また、ほぼすべてのラベル表記が漢字のみであるのも、英語圏の人々から理解されるのが非常に困難です。たとえば山崎ウイスキーのラベルのように、その両方の要素を兼ね揃えた表記であれば、私たちにとってはるかに分かりやすく、日本の美学を保持した望ましいパッケージだと思います。

 

ジャパニーズウイスキーと近年のジンの売り上げが大幅に増加している英国を中心に、日本産アルコール商品に対する大きなニーズがあります。しかし、ウイスキーやジンは私たちには既になじみ深いカテゴリーであり、泡盛と焼酎はまだこの波を十分に活用できておらず、まだ多くの人に知られていません。数年前にメスカルがバーで火がついたように、本格焼酎も最適な方法で存在感アピールする可能性を秘めています。この分野で需要を創出することは、卸売業者、そして最終的には小売業者を通じての売上の増加につながると信じています。

リチャード・レッグ / WSET講師